事業体制

激甚災害と年代測定グループ

~太陽・地球の激甚イベント探査と新しい高精度年代法の発展~

名古屋大学宇宙地球環境研究所(ISEE)が国立歴史民俗博物館(歴博)、山形大学高感度加速器質量分析センターと連携し、以下の宇宙科学・地球科学と歴史学・考古学との文理融合型超学際研究を推進します。

  • 樹木年輪の炭素14および酸素18分析から、完新世(過去約1万2千年)の太陽活動と気候変動を復元します。
  • 炭素14の高精度測定に基づき「炭素14スパイク(過去の激甚太陽嵐の痕跡)」を探索し、その頻度を同定するとともに、それを年代測定に応用した炭素14スパイクマッチ法による激甚災害の発生年や歴史イベント年代を特定します。
  • 「太陽地球環境史グループ」と協働し、激甚災害の影響評価や、過去の激甚太陽嵐の調査を行います。

構成員

名古屋大学宇宙地球環境研究所

三宅 芙沙  

准教授

超学際ネットワーク形成推進室/宇宙線研究部

 

宇宙線物理学、宇宙線生成核種

樹木年輪の炭素14や、氷床コアのベリリウム10、塩素36といった宇宙線生成核種の高時間分解能な分析から、過去に生じた極端太陽面爆発の調査を行っている。これまでに、西暦774年や西暦993年などの極端太陽面爆発の痕跡を、宇宙線生成核種データのスパイクとして見出してきた。宇宙線生成核種スパイクを用いた高精度年代測定への応用研究も実施している。

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南 雅代

教授・室長

超学際ネットワーク形成推進室/年代測定研究部/国際連携研究センター/融合研究戦略室

 

同位体地球化学、炭素14年代測定、地球年代学

放射性同位体を用いた地球年代学・地球化学の研究、地質試料・考古試料の高精度・高確度炭素14年代測定のための試料処理法の開発、安定同位体をトレーサーとした古気候変動や環境動態解析の研究など、同位体を用いたさまざまな研究を進めています。現在は、産地・来歴判別を目指した同位体地球化学図の研究にも力を入れています。今後さらに、国内外のさまざまな分野の研究者とともに、さらなる超学際型文理融合研究を推進します。

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En-Bi Choi

研究機関研究員

 

樹木年輪学、年輪考古学、年輪気候、年輪同位体

 

私は、年輪年代学(樹木年輪の研究)を、考古学(年輪考古学)、気候学(年輪気候学)、および同位体研究(年輪同位体研究)に応用し、年輪幅、解剖学的特徴、同位体比など、樹木年輪から得られる多様な情報を包括的に活用することで、年代測定、古気候復元を目的とした年輪同位体年代研究を推進しています、これらの研究を通じて、東アジア全域における年代の総合、気候変動間の関係性の解明、そして過去の環境変動の時空間パターンの再構築を目指しています。

 国立歴史民俗博物館

坂本 稔

教授

総合研究大学院大学

 

文化財科学、炭素14年代法

炭素14年代法による歴史・考古資料の年代測定とその解釈に取り組んでいる。年代測定の精度と確度を向上するために必要な手法の検討と、日本産樹木による較正曲線の整備を目指した年輪の炭素14年代測定を継続している。現行の較正曲線IntCal20には、日本産樹木年輪として初めて、国立歴史民俗博物館がこれまで蓄積してきたデータが採用されている。

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箱﨑 真隆

准教授

 

環境年代学、年輪年代学、炭素14年代学、文化財科学、古生態学、考古植物学

日本および世界各地の現生木、遺跡出土木材、古建築材、自然埋没材の樹木年輪を対象として、年輪幅、酸素同位体比、炭素14を高精度に測定し、遺跡、古建築、自然災害の年代決定、古環境復元、太陽活動復元、年代測定基盤データ構築を実施している。

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佐野 雅規

特任准教授

 

古気候学、年輪年代学、環境史学  

 

樹木年輪の酸素同位体比を用いたアジア各地の気候復元や古材の年代決定、歴史学や考古学との協同による環境史研究に取り組んでいる。 


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平峰 玲緒奈

研究員

 

第四紀地質学,火山灰編年学、地形学、年輪年代学

 

火山砕屑物(テフラ)に含まれる火山ガラスの主成分化学組成を用いて、給源火山の特定や広域テフラの対比を行っています。特に、海域火山に伴う漂流・漂着軽石を対象とし、過去の海域火山の火山噴火履歴の復元に取り組んでいます。また、鬼界アカホヤ噴火や十和田八戸噴火などの大規模火山噴火に対する年輪年代法の応用にも関心を持っています。今後は、地形・地質情報に樹木年輪による年輪年代法を組み合わせ、噴火年代の誤差0年決定や災害史研究に取り組みます。

 山形大学高感度加速器質量分析センター

門叶 冬樹

教授

 

宇宙物理学、原子核実験、加速器質量分析、炭素14年代学

2009年度に、国内の大学法人として初となるコンパクトAMS装置と自動グラファイト作製装置を山形大学に導入し、現在、考古学、環境科学、地質学、宇宙地球科学といった幅広い分野において分野横断的な研究を展開しています。

山形大学高感度加速器質量分析センターのリンク

 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻

篠崎 鉄哉

特任研究員

 

堆積学,有機地球化学,古気候学,完新世,津波

 

主に陸域で掘削した堆積物試料を対象に,地球化学や堆積学,地質学などの観点から自然災害の実態解明や地球環境変遷に関する研究を進めている.特に,津波堆積物を用いた歴史・先史時代の津波規模・履歴復元の研究や,泥炭堆積物を用いた東アジアにおける完新世の古気候復元研究に強い関心を持っている。

 

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 大阪公立大学大学院理学研究科地球学専攻 

奥野 充

教授

 

火山地質学,放射性炭素年代学

 

火山の噴火史をテフラ層序、火山地形学、放射性炭素年代学から復元する研究を行っている。国内の活火山の噴火年代決定をはじめとして、韓国、フィリピンやインドネシアでも現地の諸機関と国際共同研究を展開しています。クック諸島やアリューシャン列島など考古遺跡との関係から人類の拡散展開と火山噴火などのイベントとの関わりにも興味を持って研究しています。

 

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 福島大学共生システム理工学類

木村 勝彦

客員教授

 

年輪年代学、森林生態学

 

酸素同位体比年輪年代法による遺跡や地質イベントなどの年代決定を進めている。