事業概要

文部科学省 共同利用・共同研究システム形成事業~ 学際領域展開ハブ形成プログラム ~

宇宙地球環境科学と歴史学・考古学を結ぶ  超学際ネットワーク形成

Transdisciplinary Network linking Space–Earth Environmental Science, History, and Archaeology (TranSEHA)

 

名古屋大学宇宙地球環境研究所(ISEE)は、令和6年度より、共同利用・共同研究システム形成事業〜学際領域展開ハブ形成プログラム〜「宇宙地球環境科学と歴史学・考古学を結ぶ超学際ネットワーク形成」を開始しました。本事業においては、宇宙地球環境科学を軸に、自然科学と人文科学を融合し、分野横断的な知の融合をはかることにより、多分野の知見を相互に高め合うことを目的としています。超学際的な研究システムを構築するために、ISEE内に新たに超学際ネットワーク形成推進室(OPTN)を設置し、本推進室を拠点として、国立歴史民俗博物館、山形大学高感度加速器質量分析センター、九州大学アジア埋蔵文化財研究センター、情報・システム研究機構データサイエンス共同利用基盤施設、情報・システム研究機構統計数理研究所、および名古屋大学デジタル人文社会科学研究推進センターの6機関と連携し、高知大学海洋コア国際研究所、岡山理科大学フロンティア理工学研究所、および名古屋大学宇宙地球環境研究所融合研究戦略室と協力して強力なネットワークを構築することにより、「宇宙地球環境科学と歴史学・考古学を結ぶ超学際ネットワーク形成」を目指します。

 

具体的な取組内容

  • 炭素14の高精度年代決定に基づき過去の激甚太陽嵐イベントを探査し、その頻度を同定するとともに、歴史考古学の新しい年代マーカーとして活用する手法を確立。
  • 古地磁気年代測定法を1万年以上前へ拡張するための基準となる地磁気変動の計測、炭素14年代との比較と人文科学への適用。
  • 歴史文献や考古資料に残る激甚太陽嵐の痕跡を見出し、その規模を現在の数理モデルから定量評価することで、今後発生する激甚太陽嵐による現代文明への影響を評価。
  • 宇宙地球環境に関連した歴史文献、文化財、極端宇宙天気等の異なる分野のデータをメタデータ化して登録。データにdoiを付与することでこれらを引用可能な方法で公開し、宇宙地球環境に関する文理融合研究を促進。

期待される成果

  • 宇宙地球環境科学と歴史学・考古学を融合する超学際分野を創成し、新しい融合研究ネットワークを形成。
  • 百年、千年に一度の激甚太陽嵐の現代文明への影響の定量的評価を通して宇宙災害への備えと減災を実現し、安全・安心な宇宙利用に貢献。
  • 新しい年代マーカーの同定による超高精度年代測定を実現し、歴史考古学の発展と地震火山などの災害史の理解や防災に貢献。
  • 1万年以上の古地磁気年代測定法を歴史考古学へ適用することで、新たな年代測定の手法を獲得するとともに、地磁気変化・宇宙災害の長期予測に役立てる。
  • 理工学と人文科学の広い視野を持ち、宇宙に拡がる発展的社会の形成に貢献する次世代人材を育成。

中核機関・参画機関の概要

<中核機関>

名古屋大学宇宙地球環境研究所(ISEE)

名古屋大学宇宙地球環境研究所(ISEE)は、地球・太陽・宇宙を一つのシステムとして捉え、そこに生起する多様な現象のメカニズムと相互作用を解明することを通して、地球環境問題の解決と宇宙に広がる人類社会の発展に貢献することをミッションとしています。地球上の生命を育む太陽活動の変化は、ときに大きな影響を地球環境や人間社会に影響を及ぼします。太陽面で発生する巨大な太陽フレアは、地球の放射線環境や超高層大気を激しく乱し、衛星・電力・通信・航空などのインフラに深刻な障害を引き起こす場合があります。長期的な太陽活動の変化が地球気候に影響を与える可能性も指摘されています。宇宙の彼方から届く宇宙線も我々の環境の一要素ですが、樹木年輪等に残されたその痕跡は、過去の環境変動を探るための貴重な情報を提供します。このような宇宙・太陽・地球・生命・社会が織りなす複雑でダイナミックな環境を包括的な視点から探るには、分野の枠を超えた融合研究が不可欠です。ISEEでは国内外の多様な研究者と協力した分野融合研究を積極的に推進し、新たな学問分野を切り拓く中核的な役割を果たしています。

 

<参画機関>

国立歴史民俗博物館

国内外の大学や博物館,地方自治体(特に文化財研究機関・組織)などと広範なネットワークを有し、炭素14年代法および年輪年代法による「超高精度年代研究」を実践して、歴史学や考古学における歴史叙述の精確度向上を牽引しています。
◦ ISEEとの学術交流・協力に関する基本協定書(2025.10.22)

山形大学高感度加速器質量分析センター

北海道・東北地区の大学では初となる高感度加速器質量分析装置を平成22年に導入し、高精度な炭素14分析技術の開発、同装置を用いた炭素14年代法による分野横断的な教育研究活動を推進しています。
◦ ISEEとの連携推進協定書(2025.9.24)

九州大学 アジア埋蔵文化財研究センター

アジアを視野に入れた埋蔵文化財を対象とする文理融合研究に強みを持ち、特に考古学・古地磁気学の融合研究に力を入れて推進しています。東アジア~東南アジア地域の考古資料の収集・整理・磁気分析を進め、全地球的な地磁気変動の解明を目指します。
◦ ISEEとの連携推進協定書(2025.5.21)

情報・システム研究機構  データサイエンス共同利用基盤施設(ROIS-DS)

宇宙地球環境研究所と関りの深い極域科学の他に、生命科学、社会科学、人文学、法学など多様な分野におけるデータサイエンス共同研究を推進しています。宇宙地球環境に関連した歴史文献、文化財、極端宇宙天気データ等の異なる分野のデータをメタデータ化して登録するとともに、公開可能なデータにdoiを付与することでこれらを引用可能な方法で公開し、宇宙地球環境に関する文理融合研究を促進します。

情報・システム研究機構  統計数理研究所

わが国の統計数理研究の中心的な研究機関として、その発展のための先駆的役割を果たしています。データサイエンス共同利用基盤施設と連携して、本プロジェクトにおける文理融合研究および社会との連携活動を統計数理科学的にサポートします。

名古屋大学 デジタル人文社会科学研究推進センター(DHSS)

2024年度に名古屋大学に新設されたセンターで、デジタル化された研究データを活用したデータ駆動型研究により、人文社会科学における分野横断的な学際研究の創出を目指しています。歴史資料のデジタル化等を通したデータ起動型研究を推進します。

 

<協力機関>

岡山理科大学フロンティア理工学研究所

高知大学海洋コア国際研究所​​​​​​