2026.06.23 2

第3回TranSEHAセミナー


Dr. Qi Zhang(ROIS-DS・特任研究員)
「極域科学における異分野データ統合とナレッジグラフの活用」

概要:

極域科学では、生物、海洋、気象、雪氷、地質などのデータが複数のデータベースやWeb資源に分散して公開されている。データへのアクセス環境は整備されつつあるが、研究課題に関係するデータを分野や提供元を越えて見つけ、科学的なつながりを把握することは容易ではない。

本研究では、この課題に対応するため、データソースを横断するレコードレベルのグラフ索引として、Polar Science Knowledge Graph(PSKG)を構築している。PSKGは、データの公開元を表すソース層、元データへのURLを保持するレコードからなるデータ層、生物種・地域・観測項目などの科学概念とその関係を表す知識層の三層で構成される。さらに、PSKGを利用した探索プラットフォームPENGUINを開発し、キーワード検索、グラフ探索、自然言語によるAI支援型探索を通じて、関連データの発見、データ間の関係や探索経路の確認、元データへのアクセスを支援している。

現在、10のデータソース由来のレコードを統合し、17,166ノード、74,483リレーションからなるグラフを構築しており、PENGUINも公開している(https://penguin.nipr.ac.jp/)。今後は、極域科学を出発点として対象分野を広げ、他分野にも応用可能なデータ統合・探索基盤へ発展させるとともに、更新・品質管理、分析・可視化支援の高度化を進める。


図1:PSKGの三層構造

PSKGの三層構造。 ソース層は既存のデータベースやWeb資源を、データ層は各ソースのレコードと元データへのURLを、知識層は生物種・地域・観測項目などの科学概念とその関係を表す。三層を接続することで、元の公開先を保持しながら、異なる分野・プラットフォームのデータを横断的に探索できる。

 

図2:PENGUINのワークスペース

PENGUINのワークスペース。 キーワード検索や自然言語によるAI支援型探索を行い、関連レコードをグラフ上で展開しながら、データ間の科学的関係、探索経路、データの来歴を確認し、元のデータソースへアクセスできる。
PENGUIN:https://penguin.nipr.ac.jp/